介護と育児の両立にお悩みの方

 子育てと親や親族の介護を同時に担う状態をダブルケアと言います。またダブルケアをおこなう人を「ダブルケアラー」と呼びます。日本では約25万人以上が該当すると推計され、子育てと介護が重なることで、ストレスや疲労の蓄積だけでなく、精神的なプレッシャーも増大します。

 また、出費が重なり家計への負担が大きくなるだけではなく、時間的な余裕がなくなり、働くことが難しくなる場合もあります。こうした複合的な課題に対応するため、地域や職場での支援が必要とされています。

1.子育てと介護の両立の4つのポイント

 介護は突然やってきます。子育てとの両立のために、何から手を付けてよいかわからない方は、家族や友人、職場の上司、関係機関に相談し、ご自身や家族に合った制度を利用することから始めましょう。

 今すぐに利用しなくても、どのような制度があるかを知っておくことは、いざという時に役立ちます。お住まいの市町村の地域包括支援センターや地域子育て支援センターなどを上手に活用することが、ダブルケアと向き合う上で大切なポイントです。

(1)早めに職場の上司と家族に相談する

 介護を始める際、家族と介護の方針や子どもの世話、金銭面などについてよく話し合うことが大事です。まずは兄弟姉妹や親戚、配偶者などと状況を共有し、主介護者を誰にするか、在宅で介護にするのか介護施設への入所など、介護の方針を家族で決めることが大切です。

 また、介護にかかる費用や介護を受ける方の資産の活用、費用の分担についても話し合い、それぞれの役割を明確にしておくと後々の負担が軽減されます。

 また、早めに職場の上司や同僚に伝え、急な休みなどに備えて情報共有しておく等の対応も必要です。 仕事とケアを両立するためには、介護休業や介護休暇のほか、時差出勤や短時間勤務制度など柔軟に働くことができる勤務制度などを上手に活用することがポイントとなりますので、勤務先の就業規則を確認し、どのような制度が勤務先にあるのか把握しておきましょう。

(2)子育て支援制度を利用する

 山梨県は、さまざまな子育て支援制度が充実しています。

 今すぐに利用しなくても、どのような制度があるかを知っておくことは、いざという時に役立ちます。 お住まいの市町村で利用できる支援制度について確認し、家庭の状況に応じて上手に活用していきましょう。

主な子育て支援制度

地域子育て支援センター・つどいの広場
(地域子育て支援拠点事業)
公共施設や保育所、児童館などの地域の身近な場所で、子育て中の親子の交流や子育て相談、情報提供を行っています。
子育て世代包括支援センター(利用者支援事業)保健師など専門スタッフが妊娠・出産・子育てに関する様々な相談に対応し、切れ目のない支援を提供します。
ファミリー・サポート・センター事業保育所などへの子どもの送り迎えや、急な用事・買い物など外出時の子どもの預かり、送迎などのサービスを行っています。
病児保育事業就労などにより、子どもが病気で自宅での保育が困難な場合、病院や保育所などに子どもを一時的に預けることができます。
一時預かり事業保育所等を利用していない家庭において、保護者の急な用事やリフレッシュなどで、昼間に家庭で乳幼児を保育することが一時的にできなくなった場合に、保育所などに預けることができます。
ショートステイ(短期入所生活援助事業)保護者の病気、育児疲れ、冠婚葬祭や出張などにより、一時的に家庭において養育することが困難となった場合に、児童養護施設や乳児院などの施設において一時的に宿泊を伴う養育を行います。   
トワイライトステイ(夜間養護等事業)保護者が仕事などで、平日の夜間又は休日に子どもの養育が困難な場合に、児童養護施設や乳児院などの施設に一時的に子どもを預けることができます。
保育所・認定こども園等保護者の就労や疾病などのため、家庭で保育のできない保護者に代わり乳幼児の保育を行います。 同居の親族(長期間入院等をしている親族を含む)を常時介護または看護している場合も利用することができます。
宿泊型産後ケア事業産後間もない母親と乳児が、産前産後ケアセンターで宿泊しながら、心身のケア、育児に関する相談、育児指導を受けることができます。
児童手当生まれてから中学校卒業まで(15歳に達した後の最初の3月31日まで)の子どもを育てる世帯に一定額の手当が支給されます。

山梨県内の子育てのお役立ち情報は下記からもご覧いただけます。

山梨県子育てネット
ダブルケアサポートブック(NPO法人すてっぷ・あっぷる)

(3)介護保険制度を利用する

 65歳以上で、ケアや支援が必要と認定された場合には、介護保険制度に基づいた「介護保険サービス」を受けることができます 。40歳から64歳であっても、特定疾病により介護が必要と認定されれば介護保険サービスを受けられます。

 介護保険サービスには、施設に入所しサービスを受ける「施設系・居住系サービス」と、自宅にいながらサービスを受ける「在宅系サービス」があります。在宅サービスには、通所介護(デイサービス)、訪問介護(ホームヘルパー)、福祉用具(車いすなど)貸与などがあります。

 

 要介護度が判定された後、ケアマネジャー(※)と相談しながら、「どのような介護サービスを、いつ、どのくらい利用するか」といったケアプランを作成します。

ご自身がどのように働きたいのか、どのように介護に携わりたいのかをケアマネジャーに伝えて、納得のいくケアプランを作成しましょう。

 サービス費用の自己負担額は所得などによって変わりますが、基本的には費用の1割負担となります。なお、1か月あたりの自己負担額の合計が一定額を超えた場合に、超過分を支給する「高額介護サービス費」制度もあります。

※ケアマネジャーは、ケアプランを作成し、市町村やサービス事業者等との連絡調整を行う専門職です。

介護保険サービスの詳細や利用方法については、お住まいの市町村の窓口や地域包括支援センターにご相談ください。


サービス利用までの流れ

相談・申請
・お住まいの市町村の介護保険担当窓口、地域包括支援センターなどに電話で相談。
・サービスの利用を希望する場合は、お住まいの市町村の介護保険担当窓口に介護保険被保険者証を添えての申請。
・地域包括支援センターなどに申請の代行を依頼することもできます。
認定調査(訪問調査)
お住まいの市町村の認定調査員が訪問して聞き取り調査。
一次判定(市町村)
主治医意見書
二次判定
お住まいの市町村の介護認定審査会で、介護の度合いを審査・判定
認定・結果通知
要介護度(要介護1-5・要支援1-2)を認定(申請から原則30日以内)
自宅でサービスを利用する場合
要介護1-5
・居宅介護支援事業所が居宅サービスケアプラン作成

要支援1-2
・地域包括支援センターにケアプランの作成を依頼
(委託により居宅介護支援事業所が作成する場合もあります)
サービスの利用
・ケアプラン(サービス利用計画)は、居宅介護支援事業所や地域包括支援センターのケアマネジャーが利用者やそのご家族と相談して作成
・施設入所についても同様
・サービスの内容については、定期的に見直します。


・介護サービス、介護保険、介護サービス事業所など介護に関する情報が検索できます。

>>厚生労働省:介護サービス・生活関連情報検索



・介護や子育てに関する相談窓口の情報を掲載しています。

>>山梨子育てハンドブック

(4)ダブルケアラーのコミュニティへの参加

 ダブルケアラーの中には、相談相手がいないまま一人で悩みを抱えている方も少なくありません。公式な相談窓口を利用することはもちろんですが、同じ立場の人々が集まるコミュニティに参加することで、精神的な負担が軽くなることもあります。

 また、同じ経験を持つ人たちからアドバイスをもらうことで、新しい視点を得られ、気分転換にもつながります。

情報交換を通じて役立つ支援制度やサービスを知る機会も得られるでしょう。

ダブルケアラーの当事者同士の交流や支援する団体もありますので、SNSなどで検索をしてみてください。

山梨県子育てネット
やまなしダブルケアの会
山梨県/認知症カフェ一覧